日本には季節にあわせて挨拶状を出す習慣があります。メールの普及で、葉書や手紙を出す機会がめっきりと減りましたが、一瞬にして消えてしまうデジタルデータのメールにはない魅力が、紙の葉書や手紙にはあります。個人的には、メールに頼った生活をしており、メールがなければ二進も三進もいかないのが正直なところで、紙の手紙や葉書よりもメールのやりとりの方が圧倒的に多いのは否定できませんが、メールのやりとりが増えるにつれて、「メールがあるからいいもんね」な考えから、「やっぱり紙の手紙や葉書は否定できないよな。生活の基盤となっているのは紙で出来た雑誌や本だしなぁ」と考えています。伝統云々の回顧オヤジにはなりたくはありませんが、人とのコミュニケーションをとるための方策を考えることが大切な、その一つが残暑見舞いであると感じています。
残暑見舞いを送る季節は、立秋から処暑の間までとなります。目安としては夏の甲子園大会が開催されている期間がほぼ残暑見舞いを送るシーズンと覚えておけばいいでしょう。立秋の場合は、ニュースの天気予報等で割と大きく取り上げられますが、処暑となると扱いも小さくなるので、残暑見舞いのデッドラインはあやふやになります。また、人によっては、残暑見舞いのシーズンを8月いっぱいや9月のはじめまでとするケースも見られます。
暑中見舞いにしろ残暑見舞いにしろ、ルールは東京が基本となります。これらの情報を流す人間が東京もしくはその近郊に住んでいる場合がほとんどだからです。例えば東京の場合、お中元のリミットが7月15日、それ以降は暑中見舞いとのしが変わりますが、地方によっては15日からから7月の終わり頃(場合によっては8月の初旬)まで、といったところもあります。「郷に入っては郷に従え」のことわざの通り、ローカルルールを尊重すしたいものです。ローカルルールで送られてきた残暑見舞いや暑中見舞いをバカにするのも避けましょう。
便利なもので、「残暑見舞い+文例」と検索をかければ、例文サイトにヒットします。これらの例文をコピーペーストすれば、立派な残暑見舞いができあがります。本棚にしまってある何年も前に出版された『手紙の書き方本』を書き写しても、残暑見舞いは完成します。しかし、この類のサイトや『手紙の書き方本』は、最大公約数的なもので、誰でも使える反面、誰もが満足できる文例とはほど遠いものがあります。残暑見舞いが届いたというだけで、何のおもしろみもありません。会社対会社的な残暑見舞いならば、フォーマット重視、作法尊重が基本になりますが、個人対個人のやりとりでは、いかがなものかと思えもするわけです。以前、ワード用のメールのテンプレートを書いたときも、数を増やして、出来るだけここの実情に沿ったものをと思いましたが(CD-ROMですので、紙の媒体と違ってページの制約はありません)、これが実に難しいものでした。僕は何度か職が変わっていますが、予備校の英語講師だったり、書籍の編集者だったり、今はライターだったりと、特殊な専門職ばかりで、総務や人事などの社内管理業務の経験もないし、営業経験も全くありません。職業柄、未経験の職種であろうとも、それに対応した文例を書くことは出来ますが、それは形だけのもので、生きた文例と呼べるようなものではありません。ルールに従ってきれいな言葉で書けばそれでいいのかというと、間違いではありませんが、正解とは言い切れません。多少ルールからはずれても、実際にやりとりしている文例にはかなうはずありません。ということで、皆さんが実際の食った残暑見舞い、もらった残暑見舞いの文例をここで募集して掲載できたらなぁと考えております。ぜひともお送りください。よろしくお願いいたします。